シミュレーションと実際のアンプのデータとの比較(2005.4.10修正) |
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1)45
単独での動作 私の持っている低周波発信器の出力電圧の上限が5.4V(RMS)でしたので最大出力近くでの比較はできませんでした。結果は以下の通り です。 0dB=出力信号音のレベル THD:0.251%(シミュレーション)、0.632%(実測)
実測値のほうが、2次歪で約8dB、3次歪で約9dB多く出ています。3次以上の歪が観測できないのは、 入力電圧が低いためと思われます。中古の真空管であることと、出力トランスを介していることから、なかなか計算どおりの数値は出ておりま せん。 |
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2)ドライブ段(76)単独の動作 最大出力時に近い、4.15V(RMS)入力で測定してみました。 0dB=出力信号音のレベル THD:6.12%(シミュレーション)、6.60%(実測)
2次歪、3次歪については、シミュレーション結果と実測値が近い値になっていますが、4次以上の歪につい ては大きな差があります。近似式が6次関数なのでこれはやむをえないかと思います。 歪率については、シミュレーションでは6.12%、実測(THD)では6.60%となり、ある程度結果を説明できる数値でした。 |
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3)初段(76)単独の動作 こちらも最大出力時に近い0.32V(RMS)入力で測定してみました。 0dB=出力信号音のレベル THD:0.101%(シミュレーション)、0.147%(実測)
こちらもドライブ段同様、3次歪まではある程度の一致が見られますが、4次以上については、差が大きく なっています。 |
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4)アンプ全体での結果(NFBあり)(2005.4.10修正) 500mV入力時のデータで比較しました。シミュレーションではこのときの出力は1.9Wですが、実測では1.28Wでした。2次歪の割 合が3次歪より少なくなっており、2次歪の打消しの効果が確認できます。 0dB=出力信号音のレベル THD:1.465%(シミュレーション)、1.149%(実測)
100mV入力の場合:シミュレーション0.079W、実測0.054W 0dB=出力信号音のレベル THD:0.704%(シミュレーション)、0.158%(実測)
興味深いことにこの場合はシミュレーションより実測のほうが歪率が少なくなっています。また、2次歪の値 がシミュレーションと13.3dBも異なっており、シミュレーションの難しさを感じます。 |
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アンプ全体での出力対歪特性 同じ出力での比較をおこなうと、右のグラフのようになりました。これではシミュレーションの結果はまるで あてにならないように見えますが、実際の出力とシミュレーションの違いを考慮して実測の出力を1.4倍換算してみると1.5Wから2Wの 範囲については、近いカーブが見られます。 真空管の誤差があること、出力トランスがあること等、実際のアンプはシミュレーションでは想定していない要素があるので、結果はこの程度 の近似になるのはやむを得ないかも知れません。 |
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5)結論 データも少ないので一般的な結論とまではいえませんがこの事例に関しては、シミュレーションの精度について、以下のことがいえるのではな いでしょうか。 1)真空管単体でのTHDの値と、2次歪および3次歪の割合については近い数値が得られる。 2)NFBを含むアンプ全体でのシミュレーションは誤差が大きく出るが、最大出力をやや下回る程度の出力の場合では2次歪、3次歪の割合 およびTHDの値は近い数値が得られる。 |
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