P-G帰還をかけた単段増幅器のシミュレーション(2006.8.23) |
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iPod用のプリアンプを作成した際に、P−G帰還のシミュレーションをお
こないました。実際の回路との比較の結果ある程度の正確さがあることが検証できました。ここでは、シミュレーションの詳細についてまとめ
てみました。他のシミュレーションと同様にMS-Excelを用いたシミュレーションです。 |
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1.Ep-
Ip曲線から無帰還時の入力と出力の関係を近似する多項式を得る 今回の場合、真空管は6C5を用いました。回路図はこちら です。6C5のEp-Ip曲線にロードラインをひき、そこからEgと対応するEpを読み込むことで、入力電圧の値と出力電圧 の値との間の関係を近似する多項式を得ます。MS-Excelを用いることで、簡単に6次の近似式を得ることができます。 図-1:Ep-Ip特性図(6C5) P−G帰還の場合、NFB用の抵抗の値が交流負荷の値に影響を与えますので、以下の通り計算をしまし た。このあたりの考え方はぺるけさんのウェブサイトにある解説がわかりやすく、役にたちました。計算の結果、 NFB用抵抗は333KΩとなりました。無帰還の場合の出力電圧を得るためにまずはおおよそのRNFBで交流負荷を計算して作図して おき、後で微調整することで最終的にRNFBの値を得ました。 また、出力につながれるメインアンプの入力インピーダンスも計算に影響します。この例では50KΩとしています。負帰還をかけない場合で もロードラインは帰還抵抗が出力に並列にぶら下がったとして計算していますので、交流負荷は負帰還をかけた場合と同じ値をとっています。 表-1:P−G帰還の場合のRNFBとゲインの試算 |
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上記の負荷を設定した上で、図ー1のEp-Ip特性図から、下記のデータを
読み取りました。
この対応関係から、MS-Excelのグラフ機能を用いて、散布図を作成し、近似関数を得ることができま す。この方法はこちらに詳細な説明があります。結果は下図の通りです。 |
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2.得られた近似関数を元に、負帰還をかけた場合の近似関数を決定する 今度は負帰還をかけた場合の入力電圧と出力電圧の関係を近似する多項式を求めます。P−G帰還の場合、グ リッドに直列に入る抵抗(今回の場合は100KΩ)と帰還抵抗によって入力電圧が分圧されることから、この点も考慮に入れて計算する必要 があります。(表ー1参照) 1.で得られた負帰還がない場合の入力電圧と出力電圧の関係を表す多項式をf(x)とします。入力電圧をxとするとそのときの出力電圧は f(x)となります。 負帰還をかける割合(出力電圧を入力に逆相で加える電圧の出力電圧に対する割合)をt(t>0)とします。負帰還をかけた時の出力電圧が y、入力電圧をx' 、負帰還をかけない場合に出力電圧がyとなる入力電圧をxとすると、x'とyには以下の関係が成立しています。 y=f(x'+ty) y=f(x) したがって、 x=x'+ty 従って、x'とx,y,tの関係は、 x'=x-ty・・・@ この関係を用いてx'とyの関係を近似する多項式を求めます。xの値を-4Vから4Vまで0.2Vずつ変化させて対応するyの値を1.で 求めた負帰還がない場合の多項式を用いて求めます。その後@式よりx'の値を得ることができます。この場合は、41のサンプルからx'と yの関係を近似する多項式を求めます。P−G帰還の場合、入力電圧がRNFBとRGによって分圧されることを考慮に入れる必要があるた め、x'=x-tyではなくy、(x'=x-ty)/0.769053としています。この数値(0.769053)の求め方は表−1の通 りです。 |
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この表から以下の手順でx'とyの関係を近似する多項式を得ます。 x'とyの関係をグラフ機能を用いてグラフに表す。その際「散布図」を指定する。 「データ系列の書式設定」で「近似曲線の追加」をクリック 「多項式近似」を選択し、次数を最大の6とする。 さらに「オプション」タブをクリックし数のように切片を0に指定すると共に、「グラフに数式を表示する」 にチェックを入れる。 下図のように近似式が表示される |
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3.得られた近似式を元に高調波歪率等を計算する 上記の多項式を得ることができれば、数値計算によって高調波歪率を算出することや出力波形を描くことが可能 です。詳細はこちらに解説があります。以下、結果のみ を示します。 |
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実際の回路とシシュレーションとの比較については、こ ちらをご参照ください。 |
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