先に掲載したシミュレーションと異なっている点 は以下の2点です。
1)低音用はコンデンサを2つ使うタイプ(2Cタイプ)とし、高音用はコンデンサを一つ使用するタイプ(1Cタイプ)とする。
2)2段目真空管のグリッドを接地するための抵抗を設けた。
2段目真空管のグリッドを接地するための抵抗の付け方について、3つの案を検討しました。使用する真空管5670のマニュアルには、グリッド 抵 抗の上限として500kΩが示されています。この500kΩをどのようにとるのかで回路が変わってきます。下の回路図でR10をどの位置に設けるかという 問題になります。 案3では、振動が多く温度変化も激しいというカーオーディオの過酷な環境から、ボリウム(VR1) が接触不良となる可能性があると考えました。その場合にはグリッドの電位が定まらず、真空管にダメージを与える可能性があるため、案3は除外し、案1と案2につい て比較しまし た。
シ
ミュレーションを行ったところ案1と案2の差はほとんどありませんが、ゲインがほんの少し(0.31dB)高くとれ、トーンコントロールの変化幅も少しだけ
(0.28dB@50kHz,0.41dB@10Hz)大きいという理由で案1を採用しました。なお、シミュレーションの前提とした回路定数は以下の通り
です。
R1=R4=91kΩ R2+R3=500kΩ R5=R8=56kΩ R6+R7=500kΩ R9=270kΩ R10=220kΩ C1=C2=0.0027μF C3=100pF
真空管増幅器のオープンゲイン A=20倍
案1のシミュレーションのための
計算はこちら 案2の
シミュレーションのための計算はこちら
BASSコントロールにコンデンサを二つ使用するタイプを使用したことに対応して、低 音側のレベルが変化し始める周波数がボリウムの回し具合によって変化しているのに対して、高音側は一定の周波数から変化し始めているのがわかります。ま た、一つのコンデンサを使用するタイプの特徴としてTREBLE側は周波数特性のグラフにうねりが少ないのがわかります。
BASSコントロールの変化 | TREBLEコントロールの変化 |
BASS,TREBLE両方 |
入力インピーダンスはTREBLEを最小にした際に低くなる傾向にあります。最低で27.464kΩ(50kHz)になりました。 (BASS=MIN,TREBLE=MAX)