ターンオーバー周波数切り替え型トーンコントロール付きプリアンプの製作(シミュレーション編)

2025.2.1

シミュレーション

 前回製作した車載用プリアンプで行った シミュレーションと同様のものです。回路を変えたため方程式が別のものになっています。手法としては同様のものです。

 今回の回路設計でも、二段目の真空管のグリッド電位をどのように定めるかで二通りの回路を検討しました。A案は、グリッドから直接アースとの間に 470kΩの抵抗を設けています。B案はトーンコントロール回路の中にぐりっでを設置するための抵抗390kΩを挿入しています。6BQ7Aのデータシー トには、グリッド抵抗の最大値として500kΩが定められています。


 シ ミュレーションを行ったところA案とB案の差はほとんどありませんが、ゲインがほんの少し(0.27dB@@1kHz)高くとれるという理由でB案を採用しました。なお、 シミュレーションの前提とした回路定数は以下の通り です。(ターンオーバー周波数Bass middle Treble middleの場合)

R1=R4=91kΩ R2+R3=1MΩ R5=470kΩ R6+R7=999.4kΩ R8=100kΩ R9=390kΩ  C1=3.3nF C2=68pF

真空管増幅器のオープンゲイン A=22.8倍 

A案のシミュレーションのための 計算はこちら  B案の シミュレーションのための計算はこちら

計算に使用したエクセルの画像は下記の通りですが、表が大きくなったため、全部は表示できていません。


B案の回路についてのシミュレーション結果

周波数特性

 R9(390kΩ)を設けることにより、周波数特性にうねりが生じるため、トーンコントロールの中点を高域側の抵抗のみ少しずらすことで、フラット に近づけました。シミュレーションの結果、高域側の中点は、R6=534.2kΩ R7=465.2kΩとなることがわかりました。また、コンデンサ C1,C2の値を変更することでターンオーバー周波数を切り替えるシミュレーションも可能です。


Bass middle Treble middleのシミュレーション

ターンオーバー周波数を切り替えた場合のシミュレーション

入力インピーダンス

 入力インピーダンスはTREBLEを最小にした際に低くなる傾向にあります。最低で14.121kΩ(100kHz)になりました。 (Bass=flat,Treble=max)



出力側からみたRC回路のインピーダンスZL

 TC回路をプレート出力側から見た場合の負荷インピーダンスZLについても同様に高音側で低くなる傾向にあり、最低で26.039kΩ(100kHz)に な り ました。    (Bass=flat,Treble=min)


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